IPA未踏ソフトウェア創造事業 長尾確PM最終報告会に行ってきました
土曜日ですが、IPA未踏ソフトウェア創造事業 長尾確PM最終報告会 に行ってきました。
報告会の全体的な雰囲気として、よく言えばアットホームな報告会だったのですが、ちょっと内輪すぎるというか、時間配分とか適当すぎるあたりが、私的にはかな〜り気になりました。(部外者として、ちょっと居心地が悪い雰囲気だったような)
…あ、でも、タダで発表を聞かせてもらっているんだから、こんなものなのかも(笑)
4つのプロジェクトの最終報告があったのですが、どれもレベルの高いもので、とっても刺激的でした。
知識・情報共有プラットフォーム SOYA
…うぅ、SOA に基づくシステム開発をしたことのないおいらには、このデータベースがどの位便利なものなのかよくわかりませんでした。
SOA による拡張可能性の確保とかがウリであるということは理解したのですが、やはりこの辺りの実装経験がないと、説明だけからその優位性を理解することができず、ちと残念。
例えばどの程度開発者の負担が軽減されるのかが分かるような発表だったら、なお良かったのではないかと思いました。
データベースにリソースを突っ込む手間はこれだけ、とか…
既存のメタデータデータベースと比較して、これだけ容易にリソースの再利用ができる、とか…
でも、まぁ、説明を聞いているだけで、なんとなく優位性は理解できたような気も(笑) ← むせきにんはつげん
人の社会ネットワークを考慮した情報共有のためのアクセス制御環境の発言
- 情報共有範囲を制限する技術の研究開発。キーワードは Controllable privacy
- 例えばmixiにおける「友人の友人までに公開」のようなものだが、よりキッチリした公開範囲の定義方法を検討したい(社会ネットワークのモデル化とか)
- 公開対象ではないユーザが blog を見た場合、文書の一部にモザイクがかかるプロトタイプを実装の上、評価実験を行った
Social Networking System のひとつのウリである「情報公開範囲の限定」の実現方法に関する研究。
従来の「(ユーザ指定による)グルーピング」や「友人(の友人)まで」という指定以外にも、Trust値による定義やネットワーク分析値による指定など、複数の指定方法を用意した上で実験を行ったとのことでした。
が、残念ながら、肝心のTrust値やネットワーク分析値の算出方法に関する説明は、当日行われませんでした。
(まぁそういうい主旨の報告会ではないと思うので、当然といえば当然なんですが)
人工知能学会第19回全国大会(JSAI2005)で森さんが発表されている以下の論文に説明がありそうなので、あとで読んでみようかと思っています:
てか…
_ ∩
( ゜∀゜)彡 公開実験! 公開実験!
( ⊂彡
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し ⌒J
ユーザ間の主観的センス共感度を用いた Weblog 検索システムの開発
- 自分の主観的センスに近い Weblog を引っ張ってくる blog recommendation system。
- キモは主観的センスの近い人の評価を重視するという Social Trust Network
- マスメディア化(大手サイトの一人勝ち)・たこつぼ化(情報収集の対象が限られた範囲に留まってしまう問題)・SPAM化(たこつぼ外の情報を recommend しても所詮は SPAM 扱いとなってしまう問題)という3つの問題を解決
自分の主観センスに基づき選択された weblog が表示され、これに対して 「○/△/×」 で評価をすると、新たに weblog が表示されるというシステム。このあたりの見てくれは、発表者の須子さん曰く、表示されたおねぇさん(と、おにぃさん)をひたすら評価していく HOT or NOT のようなものとのことでした(笑)
Recommend される blog の選択方法の詳細は残念ながら説明されませんでしたが
- Social Network 上で自分により近い人により登録された/執筆された blog を優先的に推薦
- ただしユーザ間の共感度を加味するため、Social Network 上で遠い人により登録/執筆された blog が上位にくることもある
といった感じとのことでした。
私的に研究テーマにしてみようと思っているトピックに近いものだったので、より詳しい情報がほしいなぁと思いました。
てか…
_ ∩
( ゜∀゜)彡 情報公開! 公開実験!
( ⊂彡
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し ⌒J
ワークフロー指向の次世代文書アプリケーションプラットフォーム
- 元々のコンセプトは、打倒 Microsoft?(Microsoft Officeは、Office95から進化していない。Bottom up なアプリケーション構成は限界に来ている)
- アーティクル(情報としての最小単位)をメタデータの集合として表現した上で、このアーティクルを複数アプリケーションで共有する(直交化する)モデルの提唱
- 上記アーティクルが保持されたDBが、ある意味共通アプリケーションプラットフォームになることで、既存の OS ありきな世界を override できる
…え〜、とりあえず、たぶん、この研究のキモを50%ぐらいしか理解できていないと思います > おいら
が、多分、これは凄い事をしようとしているのだと思います。
発表中、類似技術として上げられてた Mac の Spotlight は、コンピュータに格納されているファイルにメタデータを付加することにより柔軟な検索(串刺し検索)を実現しています。
一方、この研究の目指すところは、より粒度の細かい情報単位に対してメタデータが引っ付いた世界なのだと思います。
例えば、「いぐっち」というアーティクルに「へっぽこ研究者」とか「三十路」とか「メイド好き」とか「info@igucci.org」などの複数のメタデータをつけ、これをDBに管理。
さらに、こんな写真 を、「いぐっち」とか「メイド」等のメタデータを付与した上でDBで管理。
この上で、例えば SNS のようなアプリケーションは、「いぐっち」とういアーティクルで情報を引き出すことで、「いぐっち」の写真やら年齢情報やら各種属性を取得することができます。同時に、例えばメールアプリは、「いぐっち」というアーティクルで情報を引き出すことで、メールアドレスを取得することができます。(つまりは article-driven なアプリ開発が可能?)
てか、例示してみたものの、かえって分かり難くなったような…
例が悪すぎたかなぅ(泣)
発表中に上げられていた応用例としては、例えば以下のようなものが。
- 受信したメールを元に、直接 ToDo リストやスケジューラの更新を実施
- スケジューラと blog(日報)を更新すると、自動的に勤怠管理ソフトやプロジェクト管理ソフトに更新内容が反映
- 行動log(blog?)の更新内容による、メールや blog の自動フィルタリングの実施
上記例において、メールソフトや怠惰管理ソフトなどが、Microsoft Officeのようにバンドルされたソフトである必要がまったくないというのが、多分この研究のキモです。(たぶん)
一連のシステムですが、ZEKEエンジンという名前で既に実装が進んでいるとのことでした。
今後の展開を含め、担当者の清水さんのblog(港区赤坂四畳半社長) からは目が離せませぬ(笑)